相続した実家・空き家

空き家の電気・水道・ガスは止める?維持する設備の決め方

空き家になった実家の電気、水道、ガスについて、巡回、換気、排水、漏電・漏水、凍結、防犯設備を確認し、維持・停止・水抜きを設備別に決める方法を解説します。

空き家の玄関で分電盤、水道元栓、ガス設備の写真を確認する家族
目次
  1. 最初に設備と契約を一覧にする
  2. 電気は常時動く設備から判断する
  3. 水道は通水作業と凍結を分けて考える
  4. ガスは使用予定がなければ閉栓を相談する
  5. 停止・維持の決定表
  6. 停止後も巡回で確認する
  7. 片付け・内覧・修繕の予定とつなげる
  8. 管理を委託する場合の契約欄
  9. 所有者が複数いる場合の決め方
  10. 空き家を維持する期限も同時に決める

親が施設へ入った、実家を相続したなどで家が空くと、電気・水道・ガスをすぐ止めるべきか迷います。基本料金を減らしたい一方、巡回時の照明、排水設備の通水、防犯機器に電気や水が必要なこともあります。

判断の基準は「人が住んでいないから全部止める」ではありません。空き家で動かす設備、巡回で行う作業、漏電・漏水や凍結のリスクを確認し、電気・水道・ガスを別々に決めます。

ブレーカー、水道メーター、蛇口、ガス栓の写真と無地の点検用紙
契約を止める前に、空き家で使い続ける設備と季節の対策を一枚へ整理します。

最初に設備と契約を一覧にする

現地で、分電盤、電気メーター、水道メーター、元栓、給湯器、ガスメーター、プロパンボンベを撮影します。請求書や検針票があれば、契約名義、契約先、お客さま番号、支払方法も確認します。

設備空き家で使う可能性停止前の確認
電気照明、防犯、換気、ポンプ常時動く設備とブレーカー
水道清掃、排水トラップへの通水凍結、漏水、再開方法
都市ガス通常の巡回では少ない閉栓立ち会い、給湯器
LPガス通常の巡回では少ないボンベ・契約設備の扱い

名義人が亡くなっている場合は、解約・名義変更に必要な書類を契約先へ聞きます。家族だから電話だけで変更できるとは限りません。

電気は常時動く設備から判断する

通電を残す候補は、防犯カメラ・警報器、機械換気、浄化槽の送風機、井戸ポンプ、排水ポンプ、凍結防止ヒーターなどです。家の構造や地域によって必要な設備は異なります。

電気を残す場合も、使わない家電をコンセントから外し、冷蔵庫を空にして清掃し、不要な回路を切れるか電気工事の専門家へ確認します。家電を残したまま主幹ブレーカーを落とすと、再通電時の状態や時計設定も変わります。

契約を停止すると、次回の巡回では照明や掃除機が使えません。日没前に到着する予定を立て、充電式照明を持参します。管理業者へ頼む場合は、電源なしで作業できるかを確認してください。

通電中は料金だけでなく漏電や機器故障のリスクがあります。国土交通省の空き家管理受託ガイドラインも、通電・通水を続ける場合は漏電・漏水と料金負担を管理契約で定める考え方を示しています。

水道は通水作業と凍結を分けて考える

国土交通省の空き家管理チェックリストには、排水設備への通水が管理項目として挙げられています。長く水を流さないと、排水管の途中でにおいや虫を防いでいる水(封水)が減り、においや虫が上がることがあります。

ただし、水道契約を維持しなければ通水できないとは限りません。管理受託ガイドラインでは、封水程度なら巡回者が水を持参する方法も例示しています。掃除、庭の水やり、トイレ確認など巡回内容を決めてから判断します。

寒冷地や冬期は別の注意が必要です。元栓を閉めるだけでは配管内に水が残り、凍結で破損するおそれがあります。水抜き栓、給湯器、温水洗浄便座など設備ごとの手順を、メーカー、地域の水道事業者、設備業者へ確認します。

水道を残すなら、メーターの数字を巡回ごとに撮影します。使用していないのに数字が増えていれば漏水を疑い、元栓を閉めて水道事業者等へ連絡します。

ガスは使用予定がなければ閉栓を相談する

空き家の通常の見回りでガスを使う場面は多くありません。国土交通省のガイドラインも、一般にはガス供給を行わず閉栓し、プロパンガスではボンベを取り外す考え方を示しています。

ただし、自分で配管やボンベを外してはいけません。都市ガス会社またはLPガス販売店へ、使用停止日、閉栓方法、立ち会い、給湯器・警報器・リース設備、再開時の条件を確認します。

売却や賃貸の内覧で給湯器を動かしたい場合も、再開に立ち会いが必要か、機器点検を先に行うかを不動産事業者とガス契約先へ確認してください。

停止・維持の決定表

  • 今後三か月の巡回頻度
  • 掃除や庭管理で水・電気を使うか
  • 防犯・換気・ポンプ設備が常時電源を必要とするか
  • 冬までに凍結対策が必要か
  • 内覧・片付け・修繕の予定日
  • 停止と再開の手続き・費用・立ち会い
  • 基本料金を誰が支払うか
  • 管理を委託する場合の漏電・漏水責任

契約を残す設備には、見直し日を付けます。「売却が決まるまで」では期限が延び続けるため、三か月後など具体的な日を決めます。

停止後も巡回で確認する

ライフラインを止めても管理は終わりません。雨漏り、窓の破損、郵便物、庭木、害虫、におい、メーター周辺を確認します。止めたはずの契約に請求が続いていないか、最終請求書も保管します。

水抜きやブレーカー操作を行ったら、操作日、担当者、写真、再開時の注意を管理ファイルへ記録します。第三者が訪れたときに誤って通電・開栓しないよう、鍵を持つ人へ共有してください。

片付け・内覧・修繕の予定とつなげる

家財整理の日に照明、掃除機、水洗いを使うなら、その作業が終わるまで契約を残す方法があります。内覧では電気がなくても行えますが、室内が暗い、設備の状態を確認できない場合があります。不動産事業者へ、内覧時に必要な設備を聞いてください。

修繕業者が水や電気を使う場合は、使用期間、料金負担、作業後の元栓・ブレーカー確認を見積書へ入れます。業者が無断で契約を再開することは通常できないため、所有者側の担当者を決めます。

売却前の建物状況調査や残置物撤去で一時的に再開する可能性もあります。停止前に、再開申し込みから利用できるまでの日数、立ち会いの要否を契約先へ確認しておくと日程を組みやすくなります。

管理を委託する場合の契約欄

空き家管理業者へ頼むなら、電気・水道を使う作業、メーター確認、異常時の対応を具体化します。

  • 巡回時に通電・通水を確認するか
  • ブレーカーや元栓を操作できる人
  • 漏電・漏水を見つけたときの停止判断
  • 緊急修理を発注できる上限額
  • 水道を止めた場合に巡回用水を持参するか
  • 冬前の水抜きと春の再開を誰が行うか
  • 写真にメーター値を含めるか

「室内確認」に水回りや分電盤が含まれるとは限りません。作業項目、回数、報告写真、追加料金を契約書で確認します。

所有者が複数いる場合の決め方

相続人や共有者が複数いると、契約名義、支払口座、停止判断がばらばらになりがちです。窓口担当者を一人決め、停止・再開の記録と請求書を共有します。

基本料金を誰が立て替えるか、売却代金や相続財産から精算するかは家族で記録します。契約先への届出と、家族内の費用分担は別の手続きです。支払口座の凍結等で料金が滞る前に、契約先へ相談してください。

契約変更後の控え

停止・名義変更を申し込んだら、受付日、停止日、最終検針日、最終請求、再開窓口を記録します。メーターの最終値を写真に残し、請求額と大きく違う場合は契約先へ確認します。

電話だけで完了通知がない場合は、ウェブ画面や受付番号を保存します。元栓、水抜き、ブレーカーの状態も写真にし、物件へ行く家族・管理業者へ共有してください。春や片付け開始時に再開する場合は、操作前に設備の漏れや破損を点検します。

空き家を維持する期限も同時に決める

ライフライン判断は、空き家をいつまで維持するかで変わります。一か月後に片付ける家と、冬を越えて保有する家では必要な対策が違います。

空き家になった最初の30日で行うことを参考に、鍵、巡回、郵便、保険の情報と一緒に記録してください。そのうえで売る・貸す・保有する判断の期限を決めます。

基本料金だけで判断せず、家を守る設備と停止後の管理方法をセットで決めることが、空き家のライフライン整理です。

決定表と契約先の回答は、物件を売却・賃貸・再利用するときまで保管し、次の担当者へ引き継いでください。

参考にした資料(2件)

通電・通水の維持または停止は物件状況によります。設備、地域、契約先の停止・再開条件を個別に確認してください。