相続した実家・空き家やさしい実務解説

空き家になった実家の管理チェックリスト|最初の30日

実家が空き家になった最初の30日に確認したい、鍵、郵便、漏水、電気・ガス、換気、外壁、庭木、防犯、保険、近隣連絡を、訪問順に整理します。

空き家になった実家の窓を開けて点検する家族
目次
  1. 最初の訪問前に用意する物
  2. 第1週 鍵と緊急連絡を整える
  3. 第2週 水・電気・ガスと室内を確認する
  4. 第3週 建物の外と庭を確認する
  5. 第4週 管理を続ける仕組みを作る
  6. 火災保険を確認する
  7. 防犯のために避けたいこと
  8. 30日目に家族で決めること

親が住んでいた実家が空き家になると、売却や片付けのことで頭がいっぱいになります。けれども、将来を決めるまでの間にも、家は少しずつ変化します。

漏水、雨漏り、郵便物、庭木、窓の破損は、早く気づけば小さな対応で済むことがあります。最初の30日は、家をきれいにするより、安全に保てる状態と連絡体制を作る期間にしましょう。

空き家の外壁、雨どい、郵便受け、窓、止水栓を順番に確認する家族
外から内へ、危険がないことを確かめてから点検します。

最初の訪問前に用意する物

  • すべての鍵と予備鍵
  • 懐中電灯
  • 手袋、マスク、滑りにくい靴
  • スマートフォンと充電器
  • ごみ袋ではなく、重要品用の箱
  • 筆記具、養生テープ
  • 水道、電気、ガス、保険の連絡先

長く人が入っていない家では、床の傷み、カビ、害虫、漏電等があるかもしれません。異臭、焦げ跡、大きなひび、天井の落下、床の沈みを見つけたら、中へ入らず専門事業者へ相談します。

一人だけで訪問せず、家族へ到着・退出時刻を伝えておくと安心です。

第1週 鍵と緊急連絡を整える

すべての出入口を確認する

玄関だけでなく、勝手口、窓、物置、車庫の鍵を確認します。窓が閉まらない、鍵が壊れている場合は応急処置だけで放置せず、修理を手配します。

誰が鍵を持つかを一覧にします。郵便受けや植木鉢の下へ予備鍵を置かないようにします。

郵便物を確認する

郵便受けがいっぱいだと、長期不在が外から分かります。郵便局の転送、各契約先の送付先変更を検討します。重要な通知が届くため、単に「広告お断り」と貼るだけでは不十分です。

回覧板や自治会の連絡がある地域では、班長や近隣へ、家が空いていることと緊急連絡先を必要な範囲で伝えます。防犯のため、家族構成や帰宅予定など細かな情報を広く話す必要はありません。

緊急連絡先を一人にまとめる

近隣、自治体、管理会社、保険会社から連絡を受ける代表者を決めます。代表者が不在のときの二人目も決めます。

第2週 水・電気・ガスと室内を確認する

漏水を確かめる

水道メーターが回っていないか、台所、洗面、浴室、トイレ、給湯器周辺に水漏れがないかを確認します。

長期間使わないために元栓を閉めるか、凍結防止や定期通水のために残すかは、地域、季節、設備で変わります。水道事業者や設備業者へ確認してください。

電気・ガスの契約を整理する

照明や換気、警備、給湯、防犯設備で電気が必要なことがあります。契約を止める前に、何が動かなくなるかを確認します。

ガスは種類と設備を確認し、事業者へ空き家になったことを伝えます。自分で配管を触らないでください。

換気と湿気を見る

天気のよい日に短時間、複数の窓を開けます。押入れや収納も確認し、カビ、結露、害虫、動物の侵入跡がないか見ます。

窓を開けたまま別の部屋へ長時間行かず、退出前に施錠を一つずつ確認します。

第3週 建物の外と庭を確認する

外壁、屋根、雨どい、軒、塀を地上から見ます。屋根へ上ったり、高い脚立を使ったりせず、異常があれば専門事業者へ依頼します。

  • 瓦や屋根材のずれ
  • 雨どいの外れ、詰まり
  • 外壁の大きなひびや剥がれ
  • 窓ガラスの破損
  • 塀や門扉の傾き
  • 樹木が道路や隣地へ出ていないか
  • 落ち葉やごみが排水をふさいでいないか

国土交通省は、適切に管理されていない空き家が「管理不全空家」等として指導・勧告の対象となり、勧告を受けると住宅用地特例が受けられなくなる場合があると案内しています。危険になる前の小さな手入れが大切です。

第4週 管理を続ける仕組みを作る

点検表を作る

訪問日、天候、確認者、異常、対応、写真番号を記録します。毎回同じ場所から写真を撮ると、ひびや庭木の変化に気づきやすくなります。

訪問頻度を決める

月何回が正しいと一律には言えません。築年数、季節、積雪、台風、庭、設備、近隣との距離で変わります。

少なくとも、台風・大雨・地震の後、厳冬期、長く訪問できない前後は点検方法を考えます。遠方なら、親族と管理事業者を組み合わせる方法もあります。

管理を頼む場合の確認項目

  • 訪問頻度と滞在時間
  • 外観だけか、室内へ入るか
  • 換気、通水、郵便回収、庭の手入れの範囲
  • 写真報告の内容
  • 異常時にどこまで対応するか
  • 鍵の保管方法
  • 修繕を別料金で行う場合の承認方法

点検と修繕を同じ会社へ頼む場合も、勝手に工事を進めず、見積もりと家族承認を得る取り決めにします。

火災保険を確認する

住む人がいなくなったことで、保険の用途区分や補償条件に影響する場合があります。保険証券を確認し、保険会社または代理店へ現在の状況を伝えます。

保険があるから管理しなくてよいわけではありません。事故時の連絡先、免責、空き家期間、必要な管理も聞きます。

防犯のために避けたいこと

  • 郵便物やチラシをためる
  • カーテンを突然すべて外す
  • 外から見える場所に高価な物を置く
  • SNSで長期不在や所在地を公開する
  • 鍵を屋外へ隠す
  • 壊れた窓や門扉を放置する

タイマー照明や防犯カメラを使う場合は、通信、電源、近隣のプライバシー、データ管理も確認します。

30日目に家族で決めること

管理が一巡したら、費用と負担を見直します。

  1. 誰が定期訪問するか
  2. 一年間の税、保険、光熱、管理費はいくらか
  3. すぐ直す箇所はどこか
  4. 家財整理をいつまでに行うか
  5. 売却、賃貸、使用、保有をいつ再検討するか

将来の方針が決まらなくても、見直し日は決められます。「半年後に査定を取る」「次の連休に家族で話す」のように具体的にします。

空き家管理は、家を完璧に保つことではありません。異常を早く見つけ、連絡できる状態を続けることです。最初は鍵、郵便、漏水の三つから確認してください。

参考にした資料(2件)

設備の停止・通水、点検頻度、保険条件は建物と地域で異なります。危険や異常がある場合は無理に作業せず、自治体や専門事業者へ相談してください。