相続した実家の査定前に準備すること|家財が残る場合
家財が残る相続実家を査定してもらう前に、名義、図面、固定資産税、修繕、境界、室内写真、家財の扱い、希望時期など、相談時に伝える内容を整理します。

目次
実家を売ることも考えたい。でも、家の中には家具や衣類が残り、重要書類もすべて見つかったとは言えない。そんな状態で不動産会社へ相談してよいのか、迷う方もいます。
査定相談のために、先に家を空にする必要があるとは限りません。むしろ、片付け費用や家財を残したままの売却可能性も含めて相談し、その後の作業を決める方法があります。
準備するのは、完璧な家ではなく、分かっている情報と希望をまとめた一枚のメモです。
最初に相続人と名義を確認する
査定を聞くだけなら相談できても、売却契約には所有者と相続関係の整理が必要です。
- 遺言書の有無
- 法定相続人
- 遺産分割の状況
- 土地と建物の登記名義
- 共有者の有無
- 住宅ローンや抵当権
固定資産税の通知や古い権利証だけで現在の名義を決めず、登記事項を確認します。相続登記が終わっていない場合は、法務局や司法書士へ手続きの順序を相談します。
査定担当者へは、「相続登記前」「相続人間で協議中」など現在の状況をそのまま伝えます。分からないことを分かったように答える必要はありません。
査定前にあると役立つ資料
すべてそろわなくても相談できますが、次の資料があれば物件の確認が進みやすくなります。
所在地と登記の資料
- 固定資産税・都市計画税の納税通知書
- 登記事項証明書
- 登記識別情報または古い権利証
- 公図、地積測量図、建物図面
- 境界確認書
購入・建築・修繕の資料
- 売買契約書
- 建築確認、検査済証
- 建築請負契約書
- リフォーム、耐震、屋根・外壁等の修繕記録
- 設備の保証書、取扱説明書
管理と費用の資料
- 火災保険
- 電気、水道、ガス
- マンションなら管理規約、管理費、修繕積立金
- 固定資産税以外の維持費
資料がないことも査定担当者へ伝えます。再取得できる資料と、現地調査が必要な内容を分けてもらいましょう。
家と土地の現状をメモする
査定前に、修理して隠す必要はありません。分かっている不具合を一覧にします。
- 雨漏り、水漏れ
- シロアリ、カビ
- 給湯器、エアコン等の故障
- 増築、物置、車庫
- 隣地との境界や越境
- 井戸、浄化槽、擁壁
- 過去の災害や修繕
- 長期間使っていない設備
後で契約上の説明が必要になることがあります。「古いので分からない」も大切な情報です。現地調査、インスペクション、測量等をいつ行うか相談します。
家財は三つに分けて伝える
査定担当者には、家財の量だけでなく、どうしたいかを伝えます。
- 家族が必ず持ち出す物
- まだ確認が必要な物
- 売却までに処分を相談したい物
家財があることで建物の状態を見にくい場合はありますが、先に全部を処分すると、重要品の誤廃棄や不要な費用につながることがあります。
不動産会社ごとに、空の状態を前提とする、片付け業者を紹介する、買取なら残置物を含めて相談できるなど対応が違います。次を聞きましょう。
- 査定時に家財が残っていてもよいか
- 売り出し前にどこまで片付ける必要があるか
- 家財撤去費は誰が見積もるか
- 買取の場合、残せる物と対象外の物
- 片付け前後で査定条件がどう変わるか
不用品処分を依頼する場合は、家庭ごみの収集運搬が自治体の許可・委託に基づくかも確認します。
室内外の写真を撮る
遠方から最初の相談をする場合、写真があると状況を伝えやすくなります。
- 建物の外観四方向
- 接する道路と駐車場所
- 玄関、廊下、各部屋
- 水回り
- 床下・屋根裏は安全に見られる範囲だけ
- 物置、庭、境界付近
- 不具合箇所
広角で全体を撮り、次に不具合へ近づいて撮ります。住所、個人情報、貴重品が写る写真は、相談先以外へ公開しないようにします。
写真だけで最終査定ができるとは限りません。現地査定で何を確認するかを聞きます。
希望を数字で伝える
「できるだけ高く、早く」だけでは、提案を比べにくくなります。
- いつまでに方向性を決めたいか
- いつまでに引き渡したいか
- 家族が現地へ行ける回数
- 家財整理に使える予算と時間
- 修繕して売るか、現状を優先するか
- 仲介と買取の両方を聞きたいか
優先順位を一つ決めます。価格、早さ、家財を残せること、手間の少なさのどれを最も重視するかです。
複数社へ同じ内容を伝える
査定額だけを並べず、同じメモと写真を渡して聞きます。
| 確認項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 査定の方法と根拠 | ||
| 想定する売出価格 | ||
| 見込期間 | ||
| 家財の条件 | ||
| 必要な修繕・測量 | ||
| 媒介契約の種類 | ||
| 仲介手数料等 | ||
| 担当者の連絡方法 |
高い査定額を示した会社には、近隣成約事例、物件の長所、価格を見直す時期を聞きます。査定額は売却を約束する金額ではありません。
媒介契約の前に確認する
国土交通省の案内では、不動産の媒介契約には三つの類型があります。他社へ重ねて依頼できるか、レインズへの登録、報告頻度、自己発見取引等が異なります。
契約書で、期間、業務範囲、広告、報告、仲介手数料、解除・更新を確認します。査定を受けた会社と必ず契約する必要はありません。
税務については、不動産会社の一般説明だけで最終判断せず、税務署や税理士へ確認します。相続した一定の空き家を売却した場合の特例などは、時期、建物、相続人、工事等に細かな要件があります。
最初の相談で伝える例
相続した実家で、現在は家財が残っています。相続人は確認中で、相続登記はまだです。売却と買取の両方について、現状のまま査定相談ができるか、売却前に必要な片付けと資料を教えてください。
これだけでも、状況と知りたいことが伝わります。準備が終わっていないことを理由に、相談を先延ばしにしなくて大丈夫です。
家財を動かす前に、順番を相談する
査定前の準備は、家を見栄えよくすることではありません。名義、資料、家の状態、家財、家族の希望を同じ条件で伝えることです。
先に相談すれば、片付けに必要な範囲と、残したまま進められる範囲が分かります。大切な物を守りながら、売却に必要な作業だけを選んでください。
参考にした資料(3件)
- 国土交通省『不動産取引に関するお知らせ』2026年8月9日確認
- 不動産適正取引推進機構『令和7年度版 不動産売買の手引』2026年8月9日確認
- 国税庁『被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例』2026年8月9日確認
査定額は売却を保証する価格ではありません。家財対応、媒介契約、税務特例等は会社と個別事情で異なるため、契約前に確認してください。